使い慣れたヘッドフォンとレコーディング&ミキシングの話

「初夏の沐浴」―音楽を作る楽しさのアンサンブル

【Cubaseで打ち込んだ「初夏の沐浴」】
今年に入ってから、音楽制作におけるちょっとした試みをしました。自宅の音楽制作用に使っている“メインPC”ではない汎用の作業(ウェブサイト関連のグラフィック制作やブログとかメールのやりとり)のための“サブPC”にも、使い慣れているCubase(=Cubase Pro 9.5)をインストールし、新たに買ってきた32鍵MIDIキーボードの「M-AUDIO KEYSTATION MINI 32」をつないで、ちょっとした打ち込みをしたり、というもので、主な使用目的は、思い浮かんだメロディやビートなどをできるだけ手早くメモ録的に打ち込んでおくこと。あとで“メインPC”でその続きの作業をする――という日頃のルーティングを思い描いたわけです。
なので、“サブPC”の方のCubaseには、バンドルのプラグインとハチプロ(Roland SC-88Pro)のプラグインしかインストールされていません。メモ録が目的なので、これだけあれば充分なのです。もちろん作成したプロジェクト・ファイルは、クラウドを使って共有します。
32鍵の「M-AUDIO KEYSTATION MINI 32」の使い勝手は、まあまあといったところで、当面はこれで充分と感じています。とは言え、やはり32鍵では込み入ったことはできない、という制約はあります。

【音源プラグインはSOUND Canvas VA】
そういう新たな環境で、ちょっとだけ試験的に何か打ち込んでみようと思って作ったのが、「初夏の沐浴」という曲。チェンバロの音色が主体なのですが、音源はハチプロ。当初、曲名は「アルデバランの舞踏家」だったのを変更して「初夏の沐浴」としました。尺は2分半ほどで、少し地味な雰囲気。チェンバロのほか、ギターやパンフルート(パンパイプ)の音色も。そもそもの着想はアイルランドのティン・ホイッスルと日本の大正琴を合奏させてはどうか、がモチーフでした。そういうアイデアの変容が、この曲の部分部分に感じられるかも知れません。

それから、この曲は“沐浴”ということなので、風呂場に行ってハンディ・レコーダーのZOOM H2nを使い、バスタブで湯を叩いたり、シャワーの音を録音しました。そうして録られた音は、曲の中に挿入され、“沐浴”のイメージを演出します。

長年、音楽制作に携わっていると、多種多様な機材を用いた様々なアプローチで曲作りすることが、とても楽しく感じられます。と同時に、音のリアリズム、音楽のリアリズムといったものを感じ取ることもできます。
前者の場合は、実際に風呂場に行って湯(水)の音を録ってみると、その音の特性や広がり方、響き方が新鮮に感じられ、想像上の音の鳴り方を遙かに超えてきます。後者は、アンサンブルにおける手法です。20代の頃、YAMAHA QY-70というハンディ・サイズのシーケンサーでちまちまと曲を打ち込んでいた経験がありますが、たとえば当時、弦楽四重奏、木管四重奏といったアンサンブルの手法を学んだことが、今回の「初夏の沐浴」にも活かされています。音楽を作ることは楽しく、あとずさりすることは決してないのです。どうかこの曲の完成も、お楽しみに――。

次回へと続く。

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