復縁―僕のmicroKORG

【KORG microKORG PT(数量限定モデル)】
この度、2017年5月末の発売を待ちに待って、シンセ&ヴォコーダーの「KORG microKORG PT」を購入することができました。37鍵のミニ鍵盤、幅50センチほどのコンパクトサイズ・シンセ、microKORG15周年記念のプラチナ・カラー、数量限定モデルです。
仕様及び使い勝手は、これまでの通常モデルとまったく同じ。ただ、このプラチナ・カラーの輝きは、なんとなくいじる際の“ときめき感”が違って、かつてこれをいじった経験とは少し意気込みが変わる気がします。無論、これは私の個人的な感想に過ぎませんが――。

以前、私が使っていた「microKORG」通常モデルは、確か2010年頃に購入したもので、KORGならではの奇行的な音色の面白さと、分かり易く使い易いノブ群のなんとも言えない肌触り、そしてヴォコーダーによる音色のエディットがたまらなく快感を覚え、すぐに使い慣れて好きになりました。けれども、この「microKORG」を使って曲を作ることが当時は難しく、まだPro Toolsによるレコーディングとミキシング(取得したプラグインも数少なく)に慣れていなかったせいもあって、活躍する機会はほとんどありませんでした。そのうちPro Toolsに慣れてくると、ソフトウェア・シンセの効率の良さが理由でそちらばかり使用されるようになり、ハードウェア機材はますます遠のいて、かれこれ数年前にその「microKORG」は友人に譲渡しました。

今でこそ私はOP-1やJD-Xi、同じKORGのminilogueなどの実機を使って当たり前のように曲を作りますが、やはりレコーディングにおけるケーブルの質の問題とか、プリアンプであるとか、ミキシングでの充分な役割を果たすプラグインの拡充といったPro Tools周りがしっかりしていなかったあの頃は、なかなか実機のシンセを使いこなすだけの度量が不足していたと感じます。「microKORG」は非常に魅力的であったけれど、時期尚早であったと――。

【2010年頃まで所有していたAVID MBOX 2】
あの頃使っていたオーディオ・インターフェース、AVIDのMBOX 2でのレイテンシー問題に絡むレコーディングでの悪戦苦闘は、今では懐かしい思い出ですが、それだけを考えても、「microKORG」どころではなかったのです。2011年には第3世代のMBOX Proに置き換えて、レイテンシーやアンプ部のクオリティの問題はほぼ解決しました。Pro Tools付属のXPand!ソフトウェアを主に使用していた頃で、もはやその時「microKORG」は蚊帳の外だったわけです。そこにOP-1があらわれ、2012年頃にはOP-1を使ったレコーディングが何度かおこなわれ、ワイヤリングの問題が自然と解決していきました。実にパーソナルな「microKORG」という存在は、その持ち味をまったく活かされず、不運としか言いようがありませんでした。

【新しくも既に使い慣れているノブ】
そんなふうに苦い経験を思い出しつつ、今ようやく「microKORG」との新しい交際を始めようとしています。アナログ・モデリングのDSPで、8つのオシレーター(ノコギリ波、矩形波、三角波、正弦波、Vox波、DWGS×64、Noise、Audio In)は実に強力、ファットでエネルギッシュです。フィルターの効きの変化の仕方も抜群で、単純にヴォリュームのノブの上がり具合にも余裕があり、パワー感の調節が楽。しかもノイズやリング・モジュレーションをかました時の嫌味のなさ、倍音のスムース感は非常に好みです。あれ?「microKORG」ってこんな気持ちのいい音だったっけ?と新鮮さを覚えました。

minilogueのメタリック系のカラーは「microKORG PT」とよく似ているけれど、中身はまったく違い、外見も後者のどことなく野暮ったい感じが、逆に魅力的。これらを比較しても、エレクトロ・ミュージックを一括りにしてはならず、やはりそれぞれのシンセで作り出すそれぞれの枝分かれ的なジャンルがあるのです。

復縁――。再び「microKORG」を手にして、あてどもない音楽の旅をしてみたくなりました。もちろんそれが私の、取り柄であり領分です。どんどん応援して下さい。

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