画像を音にした「Romanesque」

「舞踏のための音楽プロジェクト」第5弾は「Romanesque」。この曲の全般の制作を振り返りたいと思います。

【レコーディングされた「Romanesque」のオーディオ・クリップ】
ホームページのコラム「身体とRのインヴェンション」で書いた通り、この曲の前半部は舞踏家・土方巽の“身体画像”を用いて、それを音に変換してオーディオ・クリップをコラージュしています。一つは生写真そのままの画像、もう一つは色調を変え、赤と青のグラデーション処理を施した画像、さらにもう一つは別の調子のグラデーション処理をした画像の3画像をそれぞれMIDIデータ化して変換しているのですが、このままだと変換したデータは長尺でだらだらとしてしまうので、Pro Tools上で部分的にデータをカッティングして、それぞれピアノ(ホンキートンク・ピアノ)、ウッドブロック、シンセ・パッドの音源で鳴らし、UNIVERSAL AUDIOのNeve 88RSチャンネル・ストリップでコンプ&EQ処理を施しつつ録りました。
後半で突然現れるリズムは、Teenage EngineeringのOP-1です。これにRoland JD-Xiのヴォコーダー・プリセットを使って、私がフェイクを吹き込み、Pro Toolsでレコーディングしました。既にレコーディングの段階であのようなディストーションをかけ、ミキシングの段階でかなりコンプレッションしています。

【SLATE DIGITAL VBC FG-REDコンプ】
ミキシングでは主に、Waves CLA-76(2つのリビジョン:BLUEY、BLACKY)とSSL G-Channel(SSL 4000G)の組み合わせでコンプ&EQ処理をしました。しかもこの「Romanesque」では一切、ミキシング時に空間系のエフェクトを使用しませんでした。それぞれのパートのコンプ&EQ処理の仕方を変えることで、立体的なミックスを作り上げることができます。
センター位置に近い位置で鳴るピアノのパートはやや深めのコンプをかけ、鋭い高域成分を抑え、左右に広がっているウッドブロックのパートは逆にやや浅めのコンプ処理、高域もある程度フラットにすることで聴感上浮き上がって聴こえ、ピアノと相対的なレンジのバランスを取っています。こうすることで中央のピアノはやや重心が低く、左右の装飾リズムは反対に軽めの音になるので、全体が立体的になるのです。

【トータル・コンプの肝、Waves J-37 Tape】
トータル・コンプはSLATE DIGITAL VBC FG-RED、SSL G-Channel、そしてWaves J37 Tapeの組み合わせ。これまで何度も使用してきた、2MIX用定番の組み合わせです。全体の粒を揃え、低域と高域の過不足を整え、デジタルのガッツリしたサウンドをJ37 Tapeで聴き易く抑え込む。マスタリングの行程を控えているから、あまりここでレベル的にサウンド的に追い込まないようにするのがコツです。追い込みすぎると、ここまでで築いた立体的なサウンドが台無しになり、それぞれのパートの持ち味を失ってしまいます。冷静に、着実に。石橋をたたいて渡ること。

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