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「It Comes Love That Hangover」の空間処理

「舞踏のための音楽プロジェクト」第3弾「It Comes Love That Hangover」のミキシング。その空間処理について。

【Waves SSL 4000E】
Teenage Engineering OP-1で構築したベーシックなリズム隊は、実にドライかつファンキーで、空気感をほとんど持たない超低域と高域成分に寄り固まった、サウンド的には非常に処理のしづらいパートとなっていました。
これらを補整していくかたちで処理をするより、それを逆手に取ってしまった方が、この曲の特徴になるかなと考え、ドライはドライのまま、中域成分も敢えて持ち上げず、耳に痛い帯域を削る方向で処理をしました。ただし、ベースのフレーズの低域成分があまりにも超低域に寄っていながら、それがとても音量的に弱かったので、200Hzあたりをブーストし、低域を可聴周波数にまで引き上げてはいます。

これらの処理をしたプラグインは、Waves SSL 4000Eのチャンネル・ストリップ(SSL E-Channel)です。もはや私は今、ほとんどのパートをこのチャンネル・ストリップで処理してしまっています。

周波数的なバランスで言えば、このままだと中域がやや浅くなって簡素しすぎてしまうので、JD-Xiによる他のパートで中域成分を占有してもらうことにより、全体の周波数バランスを整えています。一部のパートにはモジュレーションを付加し、左右をうねるようにしたり、薄い中低域を補うかたちで、フェイジングがかった処理でステレオ感を出すなど、ベーシックなリズム隊に対してのバランスを取っています。
ちなみにコンプ処理で言うと、そうした装飾的なパートに対してはほんのちょっと長めのリリース・タイムを設定し、OP-1のベーシック・リズム隊はそれよりもリリース・タイムを短くして、中央で聴こえるベーシックなリズム隊は音像的に厚みを持たせ、左右で聴こえる装飾的なパートはやや平たくすることによって、全体のサウンドの立体的な構造として「中央を頂点にした三角形」がイメージできると思います。もしそれぞれのリリース・タイムを逆に設定すると、左右の厚みが増し、「逆三角形」のような構造になるわけです。どちらが曲に適しているか、それをあらかじめ判断した上で、コンプ処理をするということになります。

【Waves H-Reverb】
空間系のエフェクト、すなわちリバーブは、今回特に少ないながら活躍しています。この曲での空間系はすべて、Waves H-Reverbでまかないました。
私の頭の中では、こういったファンキーな曲に対しては、Lexiconのリバーブを使おうとすぐに思い立ちます。Lexiconのリバーブはサウンドが派手で、明るい印象があります。特に短いリバーブ・タイムの返しなどは、明るいサウンドでなければリズムが引き立たないのです。
Waves H-Reverbはそういう特徴も兼ね備えています。とても機能的で万能なプラグインです。今回、ごく一部のパートに、ゲート・リバーブ系のプリセットで空気感を付加しました。ドライなベーシック・リズム隊に時折短めの残響が重なって聴こえてくるのは、このH-Reverbのゲート・リバーブです。そのサウンドがやはり派手なので、このリバーブ自体もリズムの一部となるわけです。ゲート・リバーブにはそういう効果があります。

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