「Zoo Bee Doo」―それは幸福のための未来への喜び

OZONE 7の使用テスト

【OZONE 7のVintage Limiter】
つい先日、マスタリング用ソフトウェアiZotope OZONE 6をアップグレード、「OZONE 7 Advanced」に替えて使用テストをしてみました(以下、画像はトライアル版状態)。

Pro Toolsを使い始めてからほぼ同時にOZONEのプラグインも使い続けている私にとって、今回のヴァージョン7は、とても時代のうねりを感じました。デジタル・レコーディングあるいはデジタル・サウンドにおける過去の忌まわしいレッテルがはぎ取られ、究極の“デジアナ・サウンド”に向かいつつある、ということを感じています。

Pro Toolsでのレコーディング・フォーマットのスペックで私が24bit/96kHzを採用し始めたのは2011年です。これはある種の重い決意が必要でした。
①レコーディング・フォーマットのスペックを上げるとPCの負荷がかかる、②24bit/96kHzでのマルチ・レコーディングはそれまでの経験がまったく生かせない別物のサウンドになる、ということに対する覚悟。ポピュラー・ミュージックをやるなら24bit/48kHzで十分、という声が当時では圧倒的に多い中で、敢えて24bit/96kHzを選択したのは、それがアナログ・サウンドに近い、柔らかさとパワー感を得るための基本的な手段と考えたからです。

ところが実際は、24bit/96kHzという高解像度のスペックだけでは決してアナログ・サウンドには近づきません。トラック数が増えて混ざる音が増えれば増えるほど、別物のサウンドになっていきます。筋肉の引き締まったパワー感ではなく、たるんだ腹の重たさとか、ぶよぶよなのに骨張ったサウンドにしかならない。
そういうことをいやというほど経験し、ここしばらく、ミキシングとマスタリングに関して、試行錯誤を繰り返していました。どうすればアナログ・サウンドのような耳に心地良い柔らかさとパワー感を得られるのか。

そういう話はどうしても長くなってしまうので、それについての具体的な話は、別の機会を設けることにします。ただ、簡単に言い切ってしまえば、ミキシングでは“引き算や割り算”をし、マスタリングでは“足し算や掛け算”をする、ということです。ただし、ミキシングで引き算や割り算がうまくいってなければ、そのしわ寄せの除去の作業を、マスタリングの段階でせざるを得ません。

その時、とても高機能で便利なのが、「OZONE 7」なのです。

OZONE 6での各ツールに加え、「OZONE 7」では、Dynamic EQ、Vintage Limiterが加わり、「OZONE 7 Advanced」ではさらにVintage Tape、Vintage Compressor、Vintage EQが加わっています。ちなみにMaximizerでは新たにIRC IVが追加されました。

まだ現時点ですべてを試したわけではありませんが、IRC IVはあらゆるミュージック・ソースのシビアな局面にもスムースに対応し、有効かつ効果的です。
そして試しにVintage LimiterのModernを選択してみると、これがまた某有名マスタリング・スタジオのサウンドによく似ている…。IRC IVでも十分なのですが、Vintage LimiterのModernはもう少しウォームでシルキー。MaximizerやVintage Limiterのどれを選択するか、いい意味で悩み苦しむでしょう。

【アナログ・テープの再生特性をシミュレートするVintage Tape】
もう一つ試してみたのが、Vintage Tape。Studer A810がモデルのようですが、仮想スピードを切り替えたり仮想バイアスを調整したりできるので、ソースに思わぬ効果をもたらすことができそうです。デジタルのくっきりしたサウンドが、これを通すことで重心が下がり、適度にもたれたサウンドになるわけです。

「OZONE 7」のマルチバンド・コンプやEQは最も信頼のおけるツールであり、その使い勝手やサウンドの良さは言うまでもありません。ミキシングではどうしても追い込めない微細な部分の音像を加工修正したり、ほんのちょっと耳障りな周波数をカットしたり、逆に持ち上げたりといった手直しがきめ細かくできる優れたツール。

「OZONE 7」は有益なツールが増えたことにより、前ヴァージョンよりも若干上級者的な印象を与えてしまうかも知れませんが、これらがワンパッケージになっていることのありがたさというか貴重さはひしひしと感じます。噛めば噛むほど味が出るソフトウェア、ということは言えると思います。マスタリングというのは、音楽を哲学する、ということなのです。

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