「これぞ運命」のリアレンジメント〈4〉

Pro Toolsで録られた各ヴォーカル・テイク
コラボ曲「これぞ運命」のリアレンジメント。そのヴォーカル・レコーディングについて。

実はこのヴォーカル・レコーディングに入る前に、Avid Pro Toolsを12.2にアップデートしました。このアップデートにより、新たにVCAマスター・フェーダー機能やメーター表示、ディスク・キャッシュ機能などが搭載されたわけですが、既にヴァージョン12.1でトラック・インプット・モニター機能やセンドバスを使ったキュー・ミックスが作りやすくなるなどの追加機能が盛り込まれ、総じてPro Tools 12はヴァーチャルな“完全フィジカル・コンソール化”を目指しているような進化を遂げています。

個人的に思い起こせば8年ほど前。初めてPro Tools 7 LEを使用してみてそのサウンドのクオリティに驚いたものの、まだまだレコーディング周りの使い勝手が悪く、アナログのフィジカル・コンソールのような使い方ができず四苦八苦していた頃と比較して、今のPro Tools 12の進化はどうでしょう。バーチャルでしかできないコンソールの在り方を常に追究模索している姿勢は、十分評価できるのではないかと思います。

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さて、「これぞ運命」のヴォーカル・レコーディング。
今回、録りで使用したマイクロフォンはチューブタイプのLAUTEN AUDIO LT-321 Horizonで、そのサウンドはNEUMANN U67に酷似していると評判のあるマイクロフォンです。中域にパンチがありながらもしっとりとしていて、埋もれず前に出るといった特徴があります。
いつも通りのセッティングとなりますが、マイクプリAVALON DESIGN M5に通し、録音時のコンプは828xのCueMix FXのコンプでサウンドの表情が変わらない程度に軽めにつぶしています。

ヴォーカルで使用したLT-321 Horizon
リアレンジメントしてダンス・ミュージックと化した「これぞ運命」のヴォーカルは、リードとバックグラウンドを合わせて9パート(9トラック)残すことになりました。各小節のバックグラウンド・ヴォーカルから片付けて、3本のリード・ヴォーカルのアイデアを絡めながら編み上げていくというやり方で、それなりのテイク数をこなしました。
とは言え、リハーサルの段階である程度全体の構成を固めていたので、やたらめっぽう歌いまくったというわけではありません。私にとってヴォーカルの良いテイクとは、その曲のハイライト(魂を揺さぶるようなフレーズ!)と呼べる箇所が残せたかどうかで判断し、単に完璧なヴォーカルテイクを繋いでエディットすることではありません。

そしてこれは私自身のサウンドに対する直感的な見解になるのですが、前置きで述べたPro Tools 12のサウンド・クオリティが、既に曲のノリに左右するような重大な局面を迎えているということ。
簡単に言えば、Pro Toolsでのマルチ・トラックによるトータル・サウンドの密度が、過去のPro Toolsよりも非常に音楽的で美しく、また力強くスムースであること。このことは、マイクロフォンを介したレコーディングにおいては、特に演奏者への直接的な影響が大きいと思われます。

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