プチ・ソング「人間」の人間哀歌

「これぞ運命」のリアレンジメント〈3〉

コラボ曲「これぞ運命」のリアレンジメント。レコーディングに突入。

ここまでの打ち込みの作業は、Cubase Pro 8での作業でしたが、レコーディング以降の作業はPro Tools上でおこないます。
こういったDAWを乗り換えての作業は確かに利便性や効率が悪く、サウンドが微妙に変わってしまうというデメリットもあるでしょう。しかし私の場合は、Cubaseでの作業はあくまで打ち込むだけと割り切り、レコーディングからミキシングの作業をPro Toolsに乗り換えることで、曲のミックスを作るという緻密な作業に没頭することができます。その点でPro Toolsの方が慣れているせいもあります。これはあくまで私個人の制作スタイルに過ぎませんが。

Pro Toolsの画面。最後段のクリップが鍵盤ハーモニカのパート
こうした乗り換えにおける事務的な準備のため、Cubaseで打ち込んだ音源の種類やら定位などを、私は常にメモ書きして記録しています。そもそも音楽制作において紙と鉛筆(ペン)による筆記作業というのは基本的に重要で、万が一PCの作業ファイルが消えても(もちろんバックアップは随時していますが)、そのメモ書きからある程度復元できるし、制作の流れを客観的に把握する上でも、「書いて」記録しておくことはとても大切だと思っています。

長年の癖というか染みついてしまった習慣というか、本当はもっと移行するには簡単なやり方があるにもかかわらず、CubaseからPro Toolsへ乗り換えてレコーディングを進める際、私はこのメモ書きに何度も目を通しチェックをしながら、各パートのMIDIデータとその音源をPro Tools上に再現していきます。

そうしてPro Toolsで、各パートの音源をレコーディングしてオーディオ・クリップにしていきます。
この時、音源をモノで録るかステレオで録るか判断します。例えば「これぞ運命」では、シンセ・ベースやフルート、ハープなどはモノで録り、ストリングスやパッドはステレオで録っています。さらにその時、音源アプリ側のエフェクトを外して録るか、エフェクトをかけたまま録るかの判断もします。ここで録られたものがそのパートの素の音色となります。リバーブなどは外して録る場合が多いのですが、多少の部屋鳴りが付加されているような場合は、そのまま付加して録ることもあります。

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ピアニカ(鍵盤ハーモニカ) YAMAHA P-32EP
さて、これまで説明した12パートのレコーディング(=オーディオ・クリップ化)が終わった後、もう一つ新たなパートを付け加えることにしました。その楽器は鍵盤ハーモニカです。

これはいわゆるオーセンティックなパートという意味ではなく、この曲を少し可愛らしくするための隠し味的な意味で、小学校で使っていたような鍵盤ハーモニカの音色を加えてみようと思ったのです。

昨年の夏、ヤマハのピアニカが30年ぶりにモデル・チェンジするというニュースを知り、今年の初めに入手したのが、アルトモデルのピアニカ、YAMAHA P-32EPです。本体のピンク色はとても気に入っています。モデル・チェンジしたということもあって、確かに昔使っていたピアニカよりも軽量で持ち運びしやすく、音色も昔より柔らかくなっているのではないかと感じました。

ピアニカの録りで使用されたAT4080
これを今回オーバー・ダビングするにあたって、マイクロフォンはリボン型のaudio-technica AT4080を選択しました。ピアニカの音色がとても柔らかいので、それを再現すべく、派手さが少ないナチュラルなサウンドが録れるAT4080が相応しいと思ったのです。

録りのコンプは828xのCueMix FXのLEVELERです。掛かるか掛からないか程度の軽めの設定です。EQは録りでは特にいじっていません。ピアニカの入る小節はほんの僅かですが、4~5テイクやり直してOKテイクとしました。

こうしてオケとなるパートはすべてレコーディングしました。
Cubaseでの打ち込みは2ミックスの状態を意識しながらも打ち込みに専念し、Pro Toolsに乗り換え後は音色を作る(再現する)こととミキシングに専念します。作品が完成するまでの全行程を、だらだらとした曖昧な流れ作業の一直線にするのではなく、節目を意図的に設けて区切り、前後の行程を確認しながら新鮮な気持ちで臨んだ方が、思わぬ発想や発見を生みやすいように思います。

いよいよ次回はヴォーカル・パフォーマンスのレコーディングです。

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