アルバム『Gの洗礼』は空前絶後の大傑作アルバムに?

「故郷の空」のミキシング

唱歌「故郷の空」のミキシングについて解説します。

前回、ヴォーカル録りにはiOSアプリ[hibiku]を使用したことを書きました。本来的にこのアプリは、サウンド・スケープを楽しむ目的で、iPad&iPhoneの内蔵マイクから環境音を集音して超ロングリバーブを付加して楽しむものです。
私の唱歌「海」やこの「故郷の空」での手法はヴォーカルに付加するという意味でオーソドックスな手法であり、あまり面白いものではありません。ですが、ヴォーカルのメロディがその超ロングリバーブの影響でどう引っ張られるのか、変化するのかという部分で、リアルタイムでそれを感じつつ歌のメロディを変化させていく試みは、なかなか実験的で緊張感の伴う作業でした。

ピアノへのCLA-3Aコンプの設定
私は今回、そういった実験を試みる中、「故郷の空」の場合は特に日本語歌詞が明瞭に聴き取れるよう[hibiku]の設定を調整しておこないました。そしてピアノの左右に広がっている音像に対し、深いリバーブに絡まるヴォーカルがセンターでこぢんまり響くようなバランスを取りました。

iOSアプリ[hibiku]は面白遊びのできるアプリです。しかし、ここではそれが主役となってはなりません。Sonnox OXFORD REVERB(プリセットは「EMT 140 2.4sec」でリバーブ・タイムを5.21secに設定)をヴォーカルを含むそれぞれのパートに付加して、全体を“音楽的な”響きに聴感上“手直し”しています。

ピアノへのAPI 550Bの設定
コンプレッサーはすべてWavesのCLA-3Aを使いました。ピアノへのコンプレッションはヴォーカルへの深いコンプレッションと比較して緩めであり、相対的にピアノのレンジが広がっているような感じにしました。EQはAPI 550Bで、ピアノに対しては少し重すぎるローをカットしています。

マスター・フェーダーには磁気テープの温かみを加えるプラグインとSSL 4000Gシリーズのチャンネル・ストリップをインサートして、全体のその音質とレベルを調整(トータル・コンプレッション)し、この段階でラウドネスは整ってしまいました。
したがって、マスタリングではほんの少し低域にエキサイターで熱量を加えた程度で、あとはほとんど何もしていません。

最後に、「故郷の空」を歌った私なりの感想なのですが、何よりも大和田建樹の日本語歌詞が美しいということ。日本語のなめらかさ、歯切れ、リズム、そして言葉の意味の深さ。
美しいというのは危険と表裏一体であるけれども、どこまで日本語は美しいのだろうということを、この曲は体現していると思います。この曲を多くの方に口ずさんでいただけたら、と思います。


コメント