アルバム『Gの洗礼』は空前絶後の大傑作アルバムに?

「野ばら」の制作〈2〉

TASCAM PORTA STUDIO 424MKIIで再生されたインストの音源テープは、dbxノイズリダクションをON、テープスピード9.5cm/secという方式で録られていたものです。
これは通常のカセットテープ走行の倍速であり、dbxの強力なリダクション効果でヒスノイズはかなり軽減されています。

Pro Toolsに取り込まれた際、ここがポイントとなっていた、オーディオ・インターフェースMOTU 828xを通ったサウンド。
取り込まれたインストのパートを聴いて正直、YAMAHA QY-70の音源とカセットテープに録られた音…すごくいいなあと思いました。
特にハープシコードとオルガンがクリアで、1997年当時はこんな立体的なサウンドにはなっていなかったはずです。もしこれらのパートを個別に取り込んで処理をしていたら、もっと輪郭がはっきりとしていたでしょう。

その証拠に、当時テープに録られた段階での各パートの配置が、やや右側に偏ってしまっていて、左側に配置されたオルガンが独りで頑張っている感じになっています。つまりバランスがやや悪いのです。当時のモニタリングでは、ハープシコードやフレンチ・ホルンがもう少しソリッドで奥まっていて、オルガンの方が明瞭だったのかも知れません。レベル管理するメーター部も拙かったせいもあるでしょう。
MOTU 828xのデジタル・サウンドが、そうしたディテールまで浮き彫りにし、微妙なバランスの悪さまでも顕著にしてくれています。

さて、新しく吹き込んだヴォーカルは、audio-technica AT4047/SVのコンデンサー型マイクロフォンを使用しました。中高域が柔らかく前に出るマイクロフォンです。録りの際はDSPエフェクト(CueMix FX)のLeveler(LA-2Aのモデリング・コンプ)をインサートして掛け録りしましたが、なめらかなサウンドでヴォーカルにマッチします。828xのプリアンプが非常に優れていることが分かります。

リバーブ・プラグインWaves IR-L
プラグイン・リバーブはWaves IR-Lのプレートを使用。インスト及びヴォーカルにそれぞれブレンドしています。

828xのサウンドは、AVID MBOX PROと比較すると、f特性のレンジがゆったりとしていて余裕があり、どの帯域においても、カーブきつめのブーストを施しても、デジタル臭くならない気がします。コンプレッサー処理も同様の傾向で、無理に持ち上がった感じにならないのです。ジッターの精度の兼ね合いでしょう。
敢えて言えば828xは、ダイナミックレンジのマージンがぎりぎりになる段階でも、破綻しないサウンド。そう考えると、AVID MBOX PROの方は、硬派なエレクトロ系のサウンドに合うのかも知れません。
〈了〉

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