使い慣れたヘッドフォンとレコーディング&ミキシングの話

「Figure」の実験〈2〉

引き続き、「Figure」の制作について。ミキシングでのEQ+コンプの調整について書きます。

ヴォーカルのEQを施したAPI 550B
前回、ミキシングの最初の段階では、ノンプラグインの状態で仮ミックスをつくり、何度か試聴するということを書きました。Pro Tools 11による32bit浮動小数点/96kHzの場合、I/Oインターフェース(私のシステムはMBOX PRO)を経由した非常にプレーンな状態のサウンドになります。

アナログ・レコーディングではテープに録られた段階で、低域から中低域にかけて少しだるい感じになる傾向がありますが、Pro Tools 11でのデジタル・レコーディングでは、そのあたりはフラットになって太く感じられ、もちろん位相も揺れません。
プレーンすなわち電気的に物足りない、もう少し熱いとか湿ってるとか、淀んでいるとか、そういうふうに表現したくなるような「空気感」がこのあたりの帯域に欲しくなってくるわけです(一昔前のSONY PCM-3348では、アナログ卓を経由してそういう電気的な「空気感」が加味されていましたが)。
生録のパートでは、マイクプリやコンプの味付けでカヴァーできますが、ソフトウェア音源にはそれがないので、一度アナログで出すか、プラグインの後処理などが必要になってきます。

さて、「Figure」のピアノとヴォーカルトラックには、プラグインのAPI 550B(EQ)、さらにその後ろにCLA-76(コンプ)をインサートしました。

CLA-76 "BLACKY"
API 550Bをトラックにインサートすると、EQをまったくいじらずインサートしただけでも、音がほんの少し熱量を帯びて芯のある音になります。おそらく600~800Hzあたりがわずかに持ち上がるのでしょう。倍音成分も伸びて、高域にも影響を与えます。
ピアノの方は15kHzを+2.0、ヴォーカルの方は3kHzを+2.0、12.5kHzを+2.0ブーストしました。

コンプのCLA-76は2タイプのリビジョンを切り替えることができます。ピアノには、ゲインを上げた状態の音がナチュラルでガッツのあるBLUEY、ヴォーカルには、叩かれた音の粒が揃うBLACKYを選択しました。CLA-76は私が最も使用する、好きなコンプですが、リビジョンによって出音が違うので、その用途によって使い分けることができます。

ということで次回〈3〉は、「J37 Tape」プラグインについて触れます。(続く)


コメント