使い慣れたヘッドフォンとレコーディング&ミキシングの話

「Figure」の実験〈1〉

ヴォーカルサンプルとしての実験曲「Figure」(57秒)の制作について、書いておきたいと思います。

伴奏となるピアノは、ソフトウェア音源Pianoteq 4を用い、既に昨年の11月にPro Tools 11でレコーディングしていました(32bit浮動小数点/96kHz)。演奏はCubaseプログラミングを使用せず、稚拙ながら手弾きです。この時点ではあくまでテスト・レコーディングのつもりでした。
今年に入って「Figure」というタイトルを付け、ヴォーカルも付け加えようかと思案していたところ、とある英和辞典の用例で“I'm no doll.”という短文が目に付き、この言葉をアドリブのメロディに乗せ、あのようなヴォーカルのフレーズが出来上がりました。

ヴォーカルに使用したマイクロフォンはコンデンサー型ではない、ダイナミック型のTELEFUNKEN M81です。コンデンサー型と勘違いしてしまうほど繊細なので、私のお気に入りのマイクロフォンなのです。これをマイクプリAVALON DESIGN M5に通し、60Hzのローカット処理をした後、コンプALESIS 3632でレシオ4:1、アタック普通、リリース最速の適度なコンプレッションをしています。

ミキシングでは、いきなりプラグインをインサートしたりはせず、まずノン・プラグインの状態で仮ミックスをして何度か試聴します。個々のパートのサウンドはどういう状態か、何をカットすべきか、何を補うべきか、を掴みます。もちろんレベル・メーターの動きは重要です。問題が生じていれば、レコーディングに逆戻りします。

Sonnox OXFORD REVERB
最初にインサートするプラグインは空間系で、今回はSonnox OXFORD REVERBの「48 Large Chamber」(LEXICON 480Lリバーブマシンのエミュレート)プリセットに、ピアノとヴォーカルをセンドしました。さらにヴォーカルにはディレイをわずかに加えています。ここでそれぞれのAUXセンドのバランスを仮調整します。

この段階での仮ミックスは、まだ音量は比較的小さいものですが、ピアノとヴォーカルのバランス調整には時間をかけ、ヴォーカルが大きくなりすぎてはいないか、逆に小さすぎないかチェックを入念にしました。

通常、私はごく当たり前のように、ヴォーカルのレコーディングにはコンデンサー型マイクロフォンを選択しています。繊細なニュアンスを録るのに、ダイナミック型マイクロフォンは劣るから、という固定観念がありました。
確かにポップ・ノイズの混入や、手持ちによる低周波のノイズが入る余地はあるのですが、少なくともTELEFUNKEN M81はその固定観念を覆しました。ヴォーカルの音色選択肢の幅が広がっただけではなく、何か違ったニュアンスを得ることができました。

さて、ここからはEQ+コンプの調整です。(続く)


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