使い慣れたヘッドフォンとレコーディング&ミキシングの話

リトル・ジャマーのこと

実験のために並べられた「リトル・ジャマー・プロ」
6年ほど前だったか、「リトル・ジャマー・プロ」という動くジャズバンド人形の玩具を所有していました。
発売元はバンダイで、人形を音楽演奏させるための専用カートリッジを挿入すれば、ジャズやスタンダード・ナンバーの演奏をライヴ感覚で観て楽しめました。ドラム、ベース、ピアノ、ギター、サックス、トランペットと6人編成。オプションで別の楽器や、“美空ひばり”ヴォーカルを加えることも可能でした。

仕組みは、専用カートリッジに記録された演奏データ(音と動きのデータ)を読み取って、配線された各プレイヤーに伝送し、それぞれのプレイヤーの小型スピーカーで個別の音を鳴らしつつ、プレイヤーを動作させるといったもので、これは6つのスピーカーと16bit音源+アンプ部とワンセットになっているサブ・ウーファーの計7つのスピーカーによるマルチ・チャンネル出力なのです。

サクソフォニスト
音質はあくまで“玩具”の域を出るものではありませんが、玩具としては高級、まさに大人の玩具でした。現在、中古品が出回っていて、かなりの高額で取引されているようです。

私はその6年前、実験的な映像を撮るため(カット割りの学習のため)に、この「リトル・ジャマー・プロ」に演奏をさせて、個別のスピーカーからマルチ・レコーディングをするつもりでした。当時まだ使い慣れていなかったPro Toolsの実習の意味も兼ねていました。

ベーシスト&トランペッター
ただ、私が使用していたその頃のPro Tools(LE版)では、7チャンネルの入力ができず、また同じ7本のマイクロフォンを所有してはいなかったので、7回演奏させて1本ずつ録ろうということになったのですが、やはりうまくいかなかった。理由は簡単、同期録音の問題を解決することができなかったからです。
録音時にずれた各トラックのクリップ(その頃はリージョンと言った)を手作業で修正しようかとも思いましたが、こうしたやりとりの中で、結局は音源の音質と動く人形のカタカタするノイズが気になり、実験映像は中途挫折してしまいました。
そうして所有していた「リトル・ジャマー・プロ」はすべて売却しました。

いま振り返れば、あの時いかなる理由があれども、最低でも1カット撮りでステレオ録音しておけばよかったかなと後悔しています。玩具としての費用対効果はいかんせん、疑問の余地がありますが、Pro Toolsの学習において、最高の材料であったことは確かです。
Pro Toolsのあらゆる面のクオリティが、その材料のクオリティを凌駕していたことも確認でき、Pro Toolsは使い続けられるソフトウェアであることを確信しました。

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