使い慣れたヘッドフォンとレコーディング&ミキシングの話

「Sammy and Ella」の制作〈二〉

公開した「Sammy and Ella」は、インストゥルメンタルのダンス・ミュージックです。さて、この曲は果たして本当に[Scape]で作られたの?と思う方もいるかも知れません。

こういった曲の場合、どうしてもリズムセクションの方に耳がいってしまいますが、[Scape]で鳴らした音源のパートはこのリズムではなく、この曲の背景の部分なのです。

①アプリ[Scape]で再生されたパート
②ドラムンベースが主体のリズムセクション(計3パート)
③左側に配置されたシンセパッドのパート
④右側に配置されたシンセのパート
⑤ヴォコーダーが音源のパート

②と③がM-AUDIO「Transfuser」を使ってインプロヴィゼーションされたトラックとなり、④はArturiaのソフトシンセ「Analog Laboratory」で“Modular V”をエミュレートしたプリセットを使って手弾き、⑤はKORG microKORG XLのヴォコーダーを使ったトラックとなっており、何よりこれらは、①つまり[Scape]で再生された音源に合わせてオーバーダビングされたトラックなのです。

その奇妙なるアプリ[Scape]では、まるでこっくりさんのように動かして配置したエレメントらが音楽(パート)を作り出します。

TASCAM PORTA STUDIO 424MKII
私はこの音楽の再生音を、アナログMTRのTASCAM PORTA STUDIO 424MKIIに一旦ステレオで録りました。この時使用したカセットテープは、実はわざと古いものを用意して、SONY製の“CHF 46”というもう30年以上前のものです。当然、テープの磁性体は劣化しており、転写がひどく、またMTRの状態もひどい状態なので、録られた音はいかにも古い感じでした。しかし私はこのアナログの古い音をわざと狙って録ったのです。

録った音は“逆回転”で再生し、ヴィンテージのリバーブ・マシーンSONY MU-R201に入力、“シャドー”という小刻みに反射音が震えるプリセットをかまし、それをPro Toolsにデジタル・レコーディングしました。以下、②から⑤のパートをPro Tools内でオーバーダビングしました。

「Sammy and Ella」は物静かながら複雑な動きをする[Scape]での再生音を背景とし、それがきわめてうっすらとしていて聴き流してしまいますが、予測のつかない不可解な音の共鳴(=響鳴)となっているのです。


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