使い慣れたヘッドフォンとレコーディング&ミキシングの話

「Sammy and Ella」の制作〈一〉

アプリ[Scape]の画面
昨年、「PLUME」「CHIBUSA」そして「Eternal」といった曲で使用したアプリ[Bloom]は、旧型のiPodもろとも手放してしまい、それ以来、ブライアン・イーノとピーター・チルヴァーズの二人が構築した音の世界を、独自で堪能する機会はありませんでした。しかしそれにしても、あの音の世界は忘れがたいものがある――。

そこで、あの二人が“残した”別のアプリ[Scape]を使って(iPad/iPhoneアプリになりますが)、何か実験的なサウンドを記録してみようと思ったのです。

そもそも、こうしたアプリによるサウンドもしくは曲の構築については、音源として後年永く引き継がれる楽器とは違って、ほとんど一期一会です。自ら端末とアプリとを所蔵しておかない限り、後年になればなるほど入手及び使用は不可能に近いでしょう。そうでなければ、音として記録しておく以外にないのです。

さて、私はアプリ[Scape]を使って、「Sammy and Ella」という曲を制作しました。

[Scape]は[Bloom]とは異なり、アプローチとしてはもっと単純で手軽です。後者は自らが演奏(指操作)して音を変化させていくのに対し、前者は自らが演奏することは基本的にできません。[Scape]はパースペクティブな《画》をそこに表す(配置・構成・構図)ことで1曲が創作されます。

《画》を表すためのエレメント・アイコンがいくつか用意されています。これは線を描いたり色を塗ったりするものではなく、あくまでエレメントのパーツです。それらのエレメントは、アイコンという視覚の記号でごまかされていますが、実際は音楽でいうところの調性や和声、音源を指すものであり、これらを選択してディスプレイに配置し、一つの《画》をエントリーすることにより、曲が完成します。したがってこれらのアプローチは単純で手軽なのですが、リアルタイムでの即興とはなりません(エントリー前なら可能?)。

こうした手法で出来た「Sammy and Ella」とは、一体どんな曲なのか――。

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